「タイミーの人が出勤3分前に来たので帰らせた」問題から考える、労働時間と残業時間

「タイミーの人が出勤3分前に来たので帰らせた。着替えなどもあるから15分前に来ないと開店に間に合わないという感覚が分からないのはヤバい」といった投稿を目にした。しかし経営者がそのような感覚であるからこそバイトが集まらないのであり、そのままではタイミーの人さえ来てくれなくなるだろう。本件騒動から、企業の「労働時間」と「残業時間」について考察する。
新田 龍 2025.09.17
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2025年9月、ある飲食店店主によるX投稿が話題になった。当該店主は、スキマバイトサービスの「タイミー」にスポットワーカーを発注したようなのだが、どうやらそのワーカーが勤務開始時刻の3分前に到着したらしく、愚痴を連投していたのだ(当該投稿は現在削除済)。その趣旨としては、

「タイミーの人が出勤3分前に来たので帰らせた。着替えとかもあるから15分前に来ないと開店に間に合わないという感覚が分からんのはヤバい」

といったものであり、SNS上では店主に賛同する意見も一部は見られたものの、

「準備時間も勤務時間では?」「法律に違反している!」

といった指摘のほうが大量に殺到する結果となってしまった。

ギリギリとはいえ、開店時間には間に合って出勤したワーカーの業務を、店主が一方的にキャンセルしてしまった対応への批判も相まって、飲食業をはじめとする小規模事業者における労務管理の杜撰さを指摘する投稿や、自身の経験したブラック労働を開陳する投稿なども入り乱れ、大きな議論となったのである。

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経営者の立場からすると、

「始業時間には仕事がスタートできる状態にしておくこと! それまでに掃除や着替えなどの準備をしておくのは常識だ!!」

といった考えが主流であろうし、実際着替え後にタイムカードを打刻させている会社も多いことだろう。一方で従業員の立場では、

「マニュアルで『制服を着ること』と決まってるんだから、打刻してから着替えるのが当然! 着替えも仕事の一環である以上、その分の給料も払ってもらわないと!!」

といった考えに当然至るはずだ。

今般の騒動でも、「着替え時間に給料を支払わないのは労基法違反では?」との指摘が相次いだ。では実際のところ、法律ではどのような扱いになっているのだろうか。

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続きは、3257文字あります。
  • 「着替え時間」にまつわる法律上の扱いは?
  • 労働時間に該当する?しない?
  • 労務管理に真摯に取り組まない企業が直面するリスクとは?

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