ダイニー社「レイオフ」騒動から考える、社員の「正しい辞めさせ方」
ダイニー株式会社(Dinii)は、飲食業界向けの予約・モバイルオーダーなどのデジタルツールを開発・展開するテック系スタートアップ企業。創業以来、飲食事業者・消費者双方に利便性を提供し、業界のDXを牽引してきたことで注目を集めてきた。
近年ではAI領域にも積極投資し、「AI×飲食」による業務最適化・カスタマー体験向上を標榜。2024年9月には米国やシンガポールなど、海外のベンチャーキャピタル4社から総額74.6億円を調達。事業拡大に向けてアクセルを踏んでいる最中の企業である。
そんなダイニー社が2025年7月、突如として一部社員のレイオフを実施したことが報道された。時期を同じくして、同社経営者である山田真央氏自らが、文章を自由に投稿できるメディアプラットフォーム「note」上に、レイオフ断行に際しての意志や意気込みを綴った「レイオフを伝えるという仕事」と題した投稿をおこなった。
note記事の内容は、「人は減らしたが、会社の将来のためにやむを得なかった」との趣旨で、経営者個人の苦悩や会社存続への思いを前面に出したものであったが、全体を通して「ポエム調」で自分語りの印象が強く、肝心の退職する従業員への配慮や交渉の実態がまったく見えなかったため、説明不足の点や配慮の欠如が強く批判され、「美談化された解雇」といった声を中心に激しい議論を呼ぶこととなってしまった。
では具体的に何が批判され、どのような情報発信であれば問題がなかったのかについて考察していきたい。
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- 「レイオフ」と「退職勧奨」の違い
- 参照1:我が国における「クビ」(雇用契約解消)4パターン
- 参照2:整理解雇の有効性を判断する「4要件」とは?
- 退職勧奨の合法性と問題点
- 記事内容自体の問題点
- では、どのような内容の記事であればよかったのか
- 我が国における理想的な「解雇」のあり方とは
- 「解雇の金銭解決」は、誰にどんなメリットがあるのか
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