「セクハラ被害で起業を諦める人」は、起業家に向いていないのか?

本年8月末、NHKにて、女性起業家が遭遇したセクハラ被害にまつわる報道がなされた。それに対して、とある経営者がSNS上で「セクハラなんて可愛く思える位、エグい経験するのが会社経営。それで諦めるなら、起業家には向いてない」との主旨のコメントを投稿し、賛否両論が集まる議論となっている。
新田 龍 2024.11.02
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筆者は、企業や官公庁、自治体、業界団体等に対してハラスメントの予防対策を伝え、被害解決の支援をおこなう専門家だ。以前と比してハラスメントにまつわる啓発は進んできつつある一方で、ハラスメント被害の実態、とくにセクハラについては、まだまだ理解が及んでいないこと、誤解されていることも多い。議論が生まれたこの機に、本件の背景事情と投稿への賛否、そしてセクハラにまつわる正しい理解について詳説したい。

議論の元となった報道は、NHKの女性起業家の半数がセクハラ被害” スタートアップ業界で何がと題された記事だ。「過去1年間に女性起業家の半数がセクハラ被害に遭っている」との内容で、実際にセクハラ被害を経験した女性による実名での告発のほか、「投資の見返りに性的関係を求められた」「女性に管理職は無理と言われた」「セクハラについて周囲に相談したら『相手は権力者だから黙っておいたほうがいい』と忠告された」といった生々しい被害報告がなされていた。

報道によると、加害者の属性は投資家や取引先など、起業家に対して強い立場にある人物が多くを占めているという。その背景事情として、ベンチャーキャピタルの投資意識決定層やスタートアップ業界における男女割合の極端な偏り、「セクハラは当たり前」的な環境が指摘されていた。社会の半分を占める女性が働きにくい環境では、スタートアップ業界の成長も見込めない。多様な人材が活躍できることの必要性が説かれるものであった。

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続きは、7124文字あります。
  • 一連の議論における問題点とは?
  • 大前提として、セクハラの何がダメなのか?
  • セクハラが表沙汰になった際のリスク
  • セクハラに特徴的な「二次被害」の存在
  • それでも、もしセクハラに遭ってしまったら

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