「入社してはいけない悪質企業」はネットで公表されている…「日本からブラック企業が絶滅」の実現可能性
ブラック企業=「労働環境劣悪で、遵法意識も低く、従業員を使い潰すような悪質企業」との認識が広く共有されるようになった現在でも、なぜか劣悪な労働環境はなくならない。いったいなぜ、ブラック企業はいまだに生きながらえているのだろうか。(前後編の後編)
新田 龍
2024.11.09
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「ブラック企業」という言葉が生まれて二十余年。これまで、新語流行語大賞のトップ10入りしたり、ブラック企業を題材とした映画が公開されたり、実際にブラック企業の労務トラブルが世間を騒がしたりしたことなどで広く知れ渡ることとなった。現在はいちいち語義を解説しなくとも、ブラック企業=「労働環境劣悪で、遵法意識も低く、従業員を使い潰すような悪質企業」との認識が共有されている。
ブラック企業を忌避する意識が広く浸透したことで、とくに人手不足が叫ばれる昨今においては、就職時や転職時に選択肢から疎外されることにより、「労働環境や経営者・管理職の意識を改めないことには、真っ当な人員を確保すること自体が困難になる」との共通認識も生まれた。同時に、遵法意識を持ち、コンプライアンスにも配慮しなければ、ビジネス上の取引先としても選好されない、という環境にもなりつつあり、段階的にではあるが「ブラック企業のままでは生き永らえることが困難」という状況が以前よりも進展しているように感じられる。